相澤秀人さんの作品パンフレットに寄稿
10月15日から27日まで、銀座Stepsgallryで開催中の相澤秀人さんの個展にあわせて作成された作品集パンフレットに、相澤秀人論「奥へ折られた面が前に進み出る」を寄稿しました。おおよそ8000字ほどあります。
日曜日はお休みですのでおきをつけて。
個別の作品についてというよりは、相澤作品に見られる「軽さ」に注目しました。今年の5月に行われた相澤さんの個展を契機に、その起源を遡行的に考え、結果として新たな空間を切り開いたものとして把握しようと努めた感じです。
無事開催された相澤さんの個展会場に行って驚きました。僕はテキストの最後で、油絵の重さから離脱した相澤さんの作品は、絵画でも彫刻・立体でも、また木工でもない場所へ「離陸」した、としたんですが、今回の相澤さんは思い切り「着陸」しようという運動を見せています。宙空から舞い降り、斜めから水平へと角度を模索する作品たち!
相澤さんの作品は、その見事な完成度がディフェンシブな意味で「工芸的」と言われる水準ではなく、明快な空間造形と複雑で繊細な表面の組織によって、どこかでユーモアさえ覚えさせるような積極性として現象していると思います。
出来上がった冊子は、相澤作品に通じるチャームを感じさせます。会場でぜひお手にとってみてください。500円。